施主力 勉強中の"タクヤ"です。
今後マイホームを建てられる方の参考に
そして自分への備忘録として残します。
『強・用・美』古代ローマの建築家 ウィトルウィウス
強がなければ、用は果たさない。
強と用がなければ、美は形だけのもの。
そして美がなければ、建築とは言えない。
家づくりは、どうしても「見える部分」に目が行きやすい。
キッチン
床材
間取り
収納
外観
もちろん全部大事なんですが、
5年住んでみて思う事は、
本当に暮らしを支えているのは、
“見えない部分”なんだと。
その代表格が、
高性能住宅における三種の神器のひとつ、《気密》。
今回は、
我が家の気密測定の話と共に、
5年住んで改めて感じた、
「見えない施工」の価値について残しておきたいと思います。
気密測定とは?

気密測定とは、
家にどれだけ「隙間」があるのかを測定する検査です。
住宅の隙間量を
数値化したものが「C値」。
数値が小さいほど、
隙間が少なく、
気密性能が高い住宅ということになります。
ちなみに昔の日本では、
気密基準が存在していました。
- 北海道・東北の一部:C値2.0以下
- その他地域:C値5.0以下
しかし2009年、
省エネ法改正により、
気密性能の項目は削除。
現在、
気密測定は会社ごとの任意です。
一方で海外では、
今でも重要な性能指標として扱われています。
| 地域 | 基準C値 |
|---|---|
| カナダ | 0.9以下 |
| スウェーデン | 0.6〜0.7以下 |
| ドイツ | 0.3以下 |
我が家を建ててくれたウェルネストホームでは、
全棟で気密測定を実施。
ドイツ基準レベルである
「C値0.3以下」を目標に施工されています。
なぜ“気密”が重要なのか

断熱性能については、
最近かなり知られるようになってきました。
でも実は、
断熱と同じくらい重要なのが気密です。
よく例えられるのが、
「穴の空いた魔法瓶」。
どれだけ高性能な断熱材を使っても、
隙間だらけなら、
そこから熱も空気も逃げてしまう。
つまり、
断熱が「服」なら、
気密は「ジッパー」。
どれだけ暖かい服でも、
前が全開なら意味がない。
すると、
- 夏は暑い
- 冬は寒い
- エアコン効率が悪い
- 温度ムラができる
- 換気計画が崩れる
- 壁内結露の原因になる
そんな問題にも繋がっていきます。
我が家の気密測定結果

我が家の完成時の気密測定結果は、
- 1回目:C値0.2027
- 2回目:C値0.2454
- 3回目:C値0.2027
平均で、
C値0.2169
でした。
なお、
中間測定時より数値が少し大きくなったのは、
トイレや浴室の換気設備が付いたため。
当時は素直に、
「うわ、すごい…」
とテンションが上がっていました(笑)
気密は“職人さんの通知表”

気密測定って、
単なる性能検査ではないと思っています。
むしろ、
「どれだけ丁寧に施工されたか」
を測る検査。
だから一部では、
「職人さんの通知表」
とも呼ばれています。
断熱材そのものは、
ある程度“モノ”で性能を作れる。
でも気密は、
最後かなり“人”が出る。
コンセント周り。
配管。
サッシ。
細かな取り合い。
地味で、
手間のかかる作業の積み重ね。
でも、
その積み重ねが、
最後に「数字」として現れる。
しかも、
ウェルネストホームでは、
全棟で中間検査・完成前検査を実施。
完成後には見えなくなる
“躯体性能”を、
しっかり施工してくれていたことに、
今改めて感謝しています。
5年住んで感じたこと

2021年の当時は、
「C値0.21、すごい!」
くらいの感覚でした。
でも5年住んでみて、
今ありがたみを感じているのは、
数字そのものではありません。
「あの時、
見えない部分を丁寧に施工してくれていた」
という事実の方です。
まず、
夏と冬の感覚がかなり独特。
正直、
外気温をアレクサに聞かないと、
外の暑さ寒さが分からない時があります。
ゴミ出しで外へ出た瞬間、
「え、今日こんな暑かったん?」
「こんな寒かったん?」
と驚くことも多い。
冬でも、
靴下なしで生活。
しかも、
夏用・冬用の布団を分けていません。
寝巻きもほぼ年中同じ。
湿度も50%前後で安定していて、
冬の朝に喉が乾くこともない。
さらに面白いのが、
設備をかなり減らせていること。
- ベランダなし
- トイレの窓なし
- 風呂の窓なし
- ダクトレス換気
- エアコン2台
- 扇風機なし
- サーキュレーターなし
- 暖房器具なし
それでも、
特に困っていません。
(窓を減らすと、
「暗そう」「カビそう」
と思うかもしれません。
でも我が家は、
計画換気がかなり安定しているので、
5年経った今でも、
浴室のカビ問題にはマンション暮らしをしていた頃より悩まされていません。)
夏は2階の8畳用エアコン、
冬は1階の6畳用エアコンで十分。
面白いのが、
サーキュレーターや扇風機を、
使っていないこと。
普通、
エアコン1台運用だと、
空気を循環させるために風を回すのが定番です。
でも我が家は、
必要性を感じていません。
これは、
隙間風が少なく、
壁や床の表面温度まで安定しているからだと思っています。
冷気や熱気が、
どこか一箇所に偏りにくい。
だから、
風を身体に当て続けなくても、
不快感が少ない。
これは、
住むまで想像していなかった感覚でした。
そして、
設備を減らしたことで、
掃除やメンテナンスもかなり楽になりました。
これが、
気密という土台の上に立った時に、
初めて見えた景色だったんだと思います。
高性能住宅とは「設備」ではなく「躯体」

家づくりは
どうしても足し算になりやすい。
太陽光。
蓄電池。
全館空調。
床暖房。
もちろん、それらも大切。
でも5年住んで思う。
本当に大事なのは、
「何を足すか」より、
「躯体がしっかりしているか」かもしれない。
どれだけ高性能な設備を入れても、
外気温が漏れていたら意味がない。
逆に、
躯体性能がしっかりしていると、
暮らしをシンプルにできる。
高性能住宅は、設備の多さではなく、
耐震。
断熱。
気密。
この土台があってこそ、
換気や耐久性、快適性にも繋がっていく。
魔法瓶のような断熱性と、
健康的な快適さ。
そして地震にも耐えうる安心。
そういう、
暮らし全体を支える“器”なんだと思います。
まとめ
5年前の自分に、
今の自分が声をかけるなら、
「その選択で合ってるよ」
と言うと思います。
もちろん、
快適さの基準は人それぞれ。
でも、
不要なものを減らし、
必要なら後から追加できる。
そんな“余白”を持った家づくりは、
暮らしをかなり楽にしてくれています。
10年後、
20年後。
ライフスタイルや設備が変わっても、
躯体さえしっかりしていれば、
後からいくらでも調整できる。
家が、
足かせになりにくいんです。
家づくりって、
どうしても「何を足すか」を考えがちです。
でも5年住んで思う。
隠れてしまう部分の躯体は後から触れない。《耐震、断熱、気密》は三種の神器である。
そこを整えると、
暮らしって意外とシンプルにできるのかもしれません。

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