目次
もしも腸が過去を記憶していたら。
今回調べたのは、腸も記憶をする臓器なのか?について。
脳腸相関って聞いたことありますか?
脳腸相関(のうちょうそうかん)
脳と腸が神経・ホルモン・免疫を介して、互いの状態をリアルタイムに伝え合う双方向のネットワークのこと
腸が主導権を握る「逆転の支配」:
脳からの命令ではなく、情報の約90%は「腸から脳へ」送られています。
腸と脳と神経、そして無数の微生物でネットワークを作っており、
過去の人間関係で感じた安心や緊張の痕跡がネットワークに記憶されているそうです。
もし不調や生きづらさの一部がそこに繋がっているとしたら。
「考え方を変えること」だけではなく、「腸を整えること」も改善になるのかもしれません。
1章|脳より先に生まれた、もう一つの知性

一般的には「脳が身体を動かしている」と教えられてきました。
考えるのは脳。 判断するのも脳。
だから脳が司令塔で、それ以外は部下みたいなイメージ。
でも進化の歴史を辿ると、その前提が少し揺らぐ。淡水に生息するヒドラという生き物には脳がない。

脳がなくて環境を感じ取り、餌を食べ、生きている。生きることに必ずしも脳は必要ではなかった。生き物はまず腸から始まり、その後に脳を発達させた。
腸研究の第一人者マイケル・ガーション教授は、腸を「ファーストブレイン」と呼んでいる。
実際、腸には約1億個の神経細胞が存在し、さらに腸と脳を繋ぐ迷走神経では、情報の多くが腸から脳へ向かっている。
「考える」より「感じる」が先にあるのかもしれない。
迷走神経(めいそうしんけい)
脳から出て胸や腹部の内臓まで広く伸びている、12対ある脳神経の中で最も長く複雑な神経。
ラテン語の「さまよう(vagus)」が語源で、あちこちに複雑に枝分かれして走る様子からその名が付く。
2章|過去は身体に保存される

頭では終わったと思っていて、気にしていないつもりなのに、似た場面になると胸がざわついたりする。
恋人や家族など、人との関係だったり、
職場や学校といった場所だったりする。
こういう反応を「気持ちの問題」では片付けられず、身体が覚えているのかもしれない。
強いストレスや長く続いた緊張感は、脳の記憶だけでなく、自律神経やホルモンの働きにも影響を与える。
研究では、幼少期の体験や慢性的なストレスが腸内環境と関係していることも報告されている。
心で起きた出来事は、時間差で身体に刻まれる。
忘れたと思っていても、身体の方は律儀に覚えている。
3章|腸と脳は、今も会話している

はじめに挙げた「脳腸相関」。
緊張するとお腹が痛くなる。
落ち込むと食欲がなくなる。
お腹の調子が悪い日はなんとなく気分も重い。
誰でも経験したことがある話で、
名前を知らなかっただけで、僕らは昔から、身体で脳腸相関を体験していた。
腸の中には数百種類、数百兆個とも言われる細菌が暮らしている。(マイクロバイオーム)
この細菌たちは、ただ食べ物を分解しているだけではなく、感情や気分に関わる物質づくりにも参加している。
代表的なのがセロトニン。
「幸せホルモン」と呼ばれるもので、実はその多くが脳ではなく、腸で作られている。
さらに研究では、腸内細菌のバランスが崩れると、過去の嫌な記憶や不安を引きずりやすくなる可能性も示されている。
もちろん、すべてが腸のせいではない。
でももし腸の状態が、過去の出来事の受け止め方にまで影響しているのだとしたら。
「なかなか前を向けない」「頭では終わったはずなのに気持ちが追いつかない」。
そんな状態の一部は、意志の弱さではなく身体の状態とも関係しているのかもしれない。
気分は脳だけで決まらない。
腸は、感情の土台を支える存在でもある。
4章|人間関係が身体に残すもの

ここまでの話を繋げると、一つの循環が見えてくる。
過去の人間関係によるストレス
↓
自律神経の乱れ
↓
腸内環境の悪化
↓
感情や思考の不安定化
↓
今の人間関係への影響
↓
再びストレス
この循環は頭の中だけで起きている話じゃなく、身体そのものが参加している。
だから「考え方を変えよう」と頑張っても苦しい時がある。根性では解決しない。
そして興味深い研究がある。
長く一緒に暮らす人同士は、腸内細菌の構成も似てくる。
毎日の食事。
同じ空間。
笑ったり、話したり、ときにはケンカしたり。
そんな何気ない日常が、身体の内側にも影響している。
僕らは思っている以上に、お互いを交換しながら生きている。
人間関係とは、心だけで起きている現象ではない。身体の中でも起きている。
5章|過去の恋愛は、どこへ消えたのか

RADWIMPSの「me me she」に、こんな歌詞がある。
「君の遺伝子もそっとまぎれこんでいるだろう」
初めて聴いた時は、少しストーカーチックで、女々しさを表しているのだと思っていた。
でも今回いろいろ調べているうちに、この言葉の見え方が少し変わった。
もちろん遺伝子そのものが混ざるわけではなく、人と過ごした時間が、自分の神経回路や身体の反応を書き換えていた可能性はある。
実際、失恋した人の脳を調べた研究では、元パートナーを思い出した時に身体的な痛みと依存症に関わる領域が同時に反応したという。
関係が終わっても、その人に関する回路はすぐには消えない。
人はそんなに簡単に「なかったこと」にはできない。
音叉(おんさ)を鳴らすと、離れた音叉も共鳴する。人間関係も少し似ている気がする。
深く関わった相手との時間は、関係が終わった後も自分の中で響き続ける。
それは弱さや未練でなく、身体が持つ、ごく自然な記憶の仕組みなのだと思う。
今の自分は、これまで出会った人たちとの共鳴の積み重ねでできている。
そう考えると、恋愛とは心の記憶だけではなく、身体の風景そのものを書き換える行為なのかもしれない。
6章|未来は、腸から書き換えられる

今までの話は過去に縛られている事例。
かつて科学は、一度作られた神経回路は変わらないと考えていた。
だが今は違う。
脳も腸も変化し続けることが分かっている。
過去は消えない。
けれど過去によって作られた反応パターンは変えられる。
その入口の一つが腸。
発酵食品を食べる。
食物繊維を摂る。
しっかり眠る。
どれも地味。
でも身体は意外と地味なことで変わる。
個人的に面白かったのは、深呼吸やハミングの研究。
迷走神経を刺激し、身体を安心モードへ切り替える仕組みが研究されている。
身体は案外正直で、頭で「大丈夫」と言い聞かせるより、ゆっくり息を吐く方が先に身体へ届くことがある。
人は人によって傷つく。
でも同じように、人によって回復もする。
安心できる誰かと笑う。
ゆっくり話す。
一緒にご飯を食べる。
そんな当たり前の時間が、神経も腸も少しずつ整えていく。
過去の人間関係が今の自分を作ったように、今の人間関係も未来の自分を作っている。
小コラム|昔の人は知っていたのかもしれない
ここまでずっと「腸」という言葉を使ってきた。
でも私たちは日常ではあまり「腸」という言葉を使わない。
代わりに使うのは《腹》。
腹が立つ。
腹を割る。
腹黒い。
腹を決める。
腹八分目。
感情や本音を表現するときに使うのは、なぜか「腹」。
もちろん昔の人は、脳腸相関もマイクロバイオームも知らない。
けれど人間を長く観察する中で、
「人の感情や本音は腹に現れる」
という感覚を掴んでいたのかもしれない。
科学は時々、新しい発見をする。
でも時々、昔から言われていたことの意味を後から説明してくれる。
おわりに|身体は敵ではない

身体は、ずっと記録を取り続けてくれている。
あの頃の痛みも。
嬉しかった出来事も。
誰かと過ごした時間も。
腸も神経も、ちゃんと覚えている。
脳を説得する前に、身体を安心させてみる。
深く息を吐く。
好きな人と話す。
発酵食品を一品増やす。
そんな小さな積み重ねが、未来の神経回路と腸内環境を少しずつ変えていく。
脳が忘れていても、腸が過去を覚えていることはある。
以上参考になりましたら幸いです。
最後まで読んでいただき
ありがとうございます。

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