お洒落は我慢?格好いい家ほど暑い?--夏の黒い外壁と軒ゼロを調べてみた

住宅
施主力 勉強中の"タクヤ"です。
今後マイホームを建てられる方の参考に
そして自分への備忘録として残します。
『強・用・美』
強がなければ、用は果たさない。
強と用がなければ、美は形だけのもの。
そして美がなければ、建築とは言えない。
古代ローマの建築家 ウィトルウィウス

今回は、夏の太陽の熱を吸収する「黒い外壁」と「軒ゼロの屋根」の住宅についてのお話です。

黒い外壁はスタイリッシュで格好よく、ハウスメーカーや工務店の施工事例、街中でもよく見かけます。さらに近年は、軒のないフラットな屋根の住宅も人気です。

私自身、2021年から高性能住宅に住み始め、今年で5年目になります。

大阪府(6地域)
二階建て、南向き

耐震等級3
断熱等級7(Ua値:0.25)
C値:0.21(実測)
Q値:1.05

「見た目は格好いい。でも、本当に長く住む家として考えた時はどうなんだろう?」という疑問が湧き、改めて調べてみました。


表面温度、白と黒でここまで違う

色によって熱の吸収に差があることは知ってますか?

18世紀、ベンジャミン・フランクリンは雪の上に色の違う布を並べる実験を行い、

「色が濃いほど熱を吸収しやすく、色が薄いほど熱を反射しやすい」ことを確かめました。

黒色が熱を持ちやすく、白色は熱を反射させている。

住宅も同じです。

「真夏の晴天日、直射日光が十分に当たっている条件」を前提にした場合の外壁の表面温度の目安

白・淡色系 約40〜50℃

黒・濃色系 約70〜80℃(条件によっては100℃近くに達する例も)


反射率で見ると、その差はさらに分かりやすい

白は光を反射し、黒は光を吸収します。

反射率90%の白と、反射率10%の黒では、実験条件によって約67℃もの温度差が確認された例もあります。

実際の住宅でも、白い外壁と黒い外壁では15〜25℃ほど表面温度に差が出るケースが多く報告されています。


「影」があるだけで13℃変わる

興味深いのは、色だけではありません。

同じ黒い外壁でも、

直射日光が当たる部分は約50℃、

影になった部分は約35.3℃という測定例があります。

わずか「影」があるだけで13℃以上も差が生まれるのです。

さらに、西日の当たるツートンカラーの外壁では、

白い部分が約40℃、

黒い部分が約53℃まで上昇した実測例も紹介されています。

屋根に至っては、真夏の晴天時には条件によって70℃前後に達することもある。

※測定条件(季節・日射量・風・素材・色の濃さなど)によって数値には幅があります。ただ、どの測定例でも「黒い外壁ほど高温になりやすい」という傾向は共通しています。


80℃を超えた外壁で、何が起きるのか

真夏になると、「今日は暑いな」と感じる日でも気温は35℃前後です。

しかし、その陽射しを直接受け続ける外壁では、80〜100℃近い表面温度になることがあります。

こうした高温環境では、防水シートやコーキング材、樹脂製建材などの劣化や変形リスクが高まることが報告されています。

さらに厄介なのが「輻射熱」です。

真夏の炎天下に停めた黒い車のボンネットやダッシュボードを触った経験がある人も多いでしょう。

住宅でも同じように、日中に蓄えた熱は、日が沈んだあともしばらく放出され続けます。

「夜になっても家の中がモワッとする」

そんな感覚の一因は、この輻射熱にあります。


軒ゼロが抱えるもう一つの課題

ここからは軒の話です。

軒のないフラットな住宅は、非常に洗練されたデザインです。

一方で、夏の日射という視点では注意したい点もあります。

ポイントは、太陽の角度です。

南面では、夏の太陽は高い位置を通るため、90cm〜1mほど軒を出せば日射を大きく遮ることができます。

しかし東面・西面では事情が違います。

朝日や西日は低い角度から差し込むため、どれだけ軒を出しても壁面への直射日光を完全には防げません。

つまり、南面は軒が有効ですが、東西面では別の工夫も必要になります。

※軒には日射を遮るだけでなく、雨や紫外線から外壁や窓を守る役割もあります。軒の基本的な役割については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎ 屋根 × 軒 の役割


「高断熱だから大丈夫」は半分正解、半分不正解

ここで、5年間住んできた実感を重ねておきます。

断熱等級5クラスの住宅では、外壁表面に10℃以上の温度差があっても、室内側の壁面温度差は1〜2℃程度に抑えられるという報告があります。

実際、私の家(C値0.21・Ua値0.25)でも、真夏に壁から熱が伝わってくるような感覚を覚えたことはほとんどありません。

住んで初めて、「断熱」と「気密」の効果を実感しました。

だからこそ思うのは、黒い外壁を選ぶなら、高断熱・高気密はほぼ必須条件だということです。

ただし、高性能住宅であっても、外壁や建材が受ける熱そのものがなくなるわけではありません。

室内の快適性と、建物が受ける負荷は分けて考える必要があります。

※なお、高性能住宅では「断熱材の性能」だけでなく、熱橋(ヒートブリッジ)対策も重要になります。断熱性能を左右する見えない弱点については、こちらの記事で詳しくまとめています。


▶︎【熱橋(ヒートブリッジ)とは?】高性能住宅で重要な理由


それでも黒い家を諦めたくない人へ

私自身、黒い外壁は格好いいと思っています。

だから否定したいわけではありません。

もし選ぶなら、次の三つは意識したいと感じました。

  • 南面はできるだけ深い軒や庇を設ける。
  • 外壁裏の通気層をしっかり確保し、熱を逃がす。
  • 遮熱対策や断熱性能を十分に高める。

どうしても軒を出したくない場合は、後付けのアルミ庇などで必要な場所だけ補う方法もあります。

デザインと性能を両立する方法は、一つではありません。


「どうなんだろう」の答え合わせ

冒頭の問いに対する、5年間住んでみた今の答えです。

黒い外壁も、軒ゼロ住宅も、決して悪いものではありません。

ただ、格好よさと快適さは、無条件に両立するものでもありません。

目に見えるデザインだけでなく、その裏側で熱をどうコントロールするか。

そこまで考えて初めて、本当に快適な家になるのだと思います。

私自身、この家に5年間住んできたからこそ、「見えない性能」にお金を掛けて良かったと実感しています。

家は何十年も暮らしていく場所です。

だからこそ、デザインを決める前に、軒の深さや通気層、断熱・気密といった「見えない設計」にも、一度立ち止まって目を向けてみてもいいのかもしれません。

以上参考になりましたら幸いです。

最後まで読んでいただき

ありがとうございます。

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