哲学の哲は 哲(さと)い と読み。賢いことを指す。
「哲」は中国語の「折（くじく）+口（言葉）」が語源で、「言葉で説いて、くじく」「知恵が優れる」意。
哲学は、人類が自らの存在、世界、生き方を探求するための学問。
ここでは、西洋と東洋から選ばれた、特に影響力の大きい哲学者トップ10を紹介します。
1. アリストテレス (Aristotle)
紀元前384年 ギリシャ 生まれ。
プラトンの弟子としてアカデメイア(学校)で学ぶ。
形而上学、倫理学、政治学、生物学、物理学など多岐にわたる。
彼の著作は後世の学問の基礎を築く。
『ニコマコス倫理学』における「中庸」は、倫理学の重要な概念として議論される。
『ニコマコス倫理学』における「中庸」の思想
極端な行為や感情を避け、適度なバランスを保つことを意味する。
徳（美徳）は極端な状態の間にあると考えた。
例えば、
勇気は《臆病と無謀》の中間に位置し、
正義は《偏りや不正》の間に位置する。
適切な行動や感情の「中間」を見つけることが重要だと主張。
徳は《過剰でも不足》でもなく、状況に応じて適切なバランスを取ることによって実現されるもの。
「中庸」の思想は、幸せを達成するための道であり、個人が徳を身につけるために目指すべき理想的な状態とされています。
2. プラトン (Plato)
紀元前427年 ギリシャ 生まれ。
ソクラテスの弟子として学ぶ。
彼のイデア論は、物質世界の背後にある不変の理想的な形（イデア）を重視し、現実の世界を超越する真の実在を探求しました。
『国家』では、
理想国家の構想を描き、哲学者が統治者となるべきだと主張しました。
(哲学者･防衛者･生産者の３つの階層)
『饗宴』では、
愛は美しいものや善いものを求める欲望で、愛を通して真理に到達する。
3. 孔子 (Confucius)
紀元前551年 中国生まれ。
倫理と政治哲学に影響を与える。
『論語』人間関係の調和と社会秩序の維持を重視します。
仁や礼、忠と孝、学び、徳治主義、中庸の概念を通じて、人間の徳性や社会の調和を説きました。
彼の思想は東アジアの文化と政治に深く根付いており、現代でも重要視される。
4. イマヌエル・カント (Immanuel Kant)
1724年 ドイツ生まれ。
批判哲学を通じて認識論と道徳哲学に革命をもたらす。
『純粋理性批判』: 人間の認識の限界を探求し、経験と理性の役割を分析することで、私たちが知りうる世界の範囲を明らかにした。
認識の構造･現象と物自体･理性の限界
『実践理性批判』: 道徳の基礎としての「定言命法」を提唱し、普遍的な道徳法則に基づく人間の行為の基準を示した。
定言命法･意志の自律･義務倫理
5. 老子 (Laozi)
紀元前6世紀 中国 生まれ。
『道徳経』を著し、道教の基礎を築きました。
自然との調和と無為自然（自然のままに行うこと）の重要性を強調し、現代に至るまで東洋思想に深い影響を与える。
道（タオ）の概念は、宇宙の根本原理として理解され、人生の指針として広く受け入れられています。
道(ﾀｵ)･無為自然･柔弱と謙虚･小国寡民
･無欲と知足
6. ソクラテス (Socrates)
紀元前469年 ギリシャ 生まれ。
対話を通じた倫理的探求を重視しました。彼は著作を残さず、その思想は弟子のプラトンを通じて伝えられました。
ソクラテス式問答法（ディアレクティック）は、質問と対話を通じて真理を探求する方法であり、現代の教育法や倫理学に大きな影響を与えています。
彼の「無知の知」の思想は、自己認識と謙虚さの重要性を強調しました。
7. ルネ・デカルト (René Descartes)
1596年 フランス 生まれ。
「我思う、ゆえに我あり」という命題で知られ、近代哲学の父と称されます。
彼の『方法序説』では、方法的懐疑を通じて確実な知識の基盤を探求し、合理主義哲学の基礎を築きました。
デカルトの思想は、現代の科学的方法論や認識論において重要な位置を占めています。
8. フリードリヒ・ニーチェ (Friedrich Nietzsche)
1844年 ドイツ 生まれ。
ニヒリズムや超人思想、力の意志を提唱しました。
彼の思想は、20世紀の哲学や文学、心理学に多大な影響を与えました。『ツァラトゥストラはこう語った』では、従来の価値観を覆し、新しい価値体系の構築を目指しました。
ニーチェの思想は、個人の力と創造性を重視し、現代社会においても重要な意味を持ちます。
9. 孟子 (Mencius)
紀元前372年 中国 生まれ。
孔子の後継者として儒教の発展に貢献しました。
彼は人間性の善性を強調し、社会の倫理的基盤としての仁義を重視しました。
『孟子』にまとめられた彼の教えは、東アジアの倫理観や政治思想に深く根付いています。
彼の思想は、人間の本質的な善意と道徳的成長の可能性を信じるものであり、現代の倫理学においても重要な視点を提供します。
10. カール・マルクス (Karl Marx)
1818年 ドイツ 生まれ。
唯物史観と資本主義批判を通じて、社会主義思想の基盤を築きました。
『共産党宣言』や『資本論』では、経済的な不平等と階級闘争を分析し、労働者階級の解放を目指しました。
マルクスの思想は、20世紀の社会主義運動に大きな影響を与え、現代でも社会経済学や政治学の重要な参考となっています。
結論
これらの哲学者たちは、それぞれの時代と文化において深い洞察を提供し、人類の知的遺産を豊かにしてきました。
彼らの思想は、哲学のみならず、政治、倫理、科学、宗教など多くの分野において影響を与え続けています。
彼らの遺産を理解することは、現代社会の複雑な問題を解決するための重要な手がかりとなります。
彼らの考えに触れることで、私たちはより深く自己を理解し、より良い社会を築くための指針を得ることができるでしょう。
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