脳の構造と感情との繋がり

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今回、脳が担う感情、思考、生命維持の役割について調査しました。

特に、右脳・左脳、海馬・前頭葉といった各部位が、感情や思考にどう関わっているのか、また神経伝達物質の働きもあわせて解説します。

脳の5つの主要な部位とその役割

脳は大きく以下の5つに分けられます。

大脳、辺縁系、小脳、脳幹、間脳。

それぞれが特定の機能を担い、感情や五感とも深く結びついています。

1. 大脳 《脳の司令塔 》

​大脳は、脳の大部分を占める「司令塔」として、思考や意思決定、記憶、感覚処理を司っています。特に、大脳の前頭前野は感情のコントロールや社会的な判断に重要で、幸福感や達成感といったポジティブな感情と深く関連しています。

大脳の「役割分担」:4つのエリア

大脳は、それぞれ異なる役割を持つ4つの「葉」に分かれています。これらは大脳の《表面》にある大脳皮質に位置し、神経細胞が集まる情報処理の中心地です。

  • 前頭葉:計画を立てたり、意思決定をしたり、感情を調整する「未来の計画者」。
  • 頭頂葉:感覚情報や空間の認識を司る「ナビゲーター」。
  • 側頭葉:聴覚や記憶、言語を理解する「図書館」のような役割を担います。
  • 後頭葉:目から入った情報を処理する「ビジュアル担当」です。

​大脳の内部構造:情報伝達のネットワーク

大脳皮質の《下》には、情報伝達を担うネットワークが張り巡らされています。

  • 大脳髄質(白質):大脳皮質の各エリアを結ぶ高速道路のような役割を担い、情報のやり取りをスムーズにします。
  • 大脳基底核:大脳の奥に位置し、運動や行動、感情の制御をサポートする「補助システム」です。

2. 辺縁系 《感情センター》

辺縁系は、感情、記憶、本能的な行動を司る脳の「感情センター」です。喜怒哀楽の感情や生命維持に関わる行動を調整し、特に扁桃体が、恐怖や緊張といった強い感情反応を引き起こします。

辺縁系を構成する主要な部位

  • 扁桃体(へんとうたい):恐怖や怒りといった感情の元となる部位で、危険を察知し、適切な防衛反応を引き起こします。
  • 海馬(かいば):長期記憶の形成に不可欠な役割を担い、特に感情と記憶を結びつける働きをします。アルツハイマー病と深く関連していることでも知られています。
  • 視床下部(ししょうかぶ):体温、空腹、睡眠など、生命維持に重要な機能を調整する「自動調整器」です。自律神経やホルモン分泌も制御しています。
  • 帯状回(たいじょうかい):感情の処理だけでなく、注意力や痛みの認識にも関わっています。
  • 中隔核(ちゅうかくかく):快感や報酬を感じるシステム(報酬系)の中心で、幸福感をもたらすドーパミンの分泌を調整します。

3. 小脳《運動コントロールセンター》

小脳は、滑らかな動きやバランスを保つための「運動の司令塔」です。複雑な運動を精密に制御し、感情的なストレスも運動能力に影響を与えます。

​小脳の構造と役割分担

  • 小脳半球: 左右に分かれた部位で、楽器の演奏やスポーツなどの複雑な運動の学習や調整を可能にします。
  • 小脳虫部: 小脳の中央にあり、姿勢やバランスを保つ役割を担っています。まっすぐ歩くなど、ふらつきを抑えるために重要です。
  • 小脳皮質: 小脳の表面にある層で、大脳などから送られてきた情報を処理する「情報処理センター」の役割を担っています。
  • 小脳核: 小脳の内部にあり、小脳が処理した情報を脊髄や他の脳部位に送る「情報伝達の中継点」です。

4. 脳幹《生命維持装置》

脳幹は、呼吸や心拍などを無意識にコントロールする「生命維持装置」であり、私たちの生命活動を支える最も重要な部分です。

大脳が感覚情報を統合して状況を理解し、適切な反応を指示。五感は記憶(海馬)感情(扁桃体)とも結びつき、経験や行動に影響を与える。五感は、それぞれ専用の脳部位で処理されながら、最終的に脳全体で協力して働いています。

脳幹の主要な3つの部位

  • 中脳: 視覚や聴覚の反射に関わり、目の動きや体の平衡感覚を調整します。
  • 橋(きょう): 大脳と小脳をつなぐ情報の「中継点」です。睡眠や呼吸のリズムを整える役割も担っています。
  • 延髄(えんずい): 脳幹の最も下部に位置し、心拍数、血圧、呼吸といった生命に不可欠な自律神経機能を管理しています。また、くしゃみや咳、飲み込みといった反射的な行動も司っています。

5. 間脳《情報中継所》

間脳は、大脳と脳幹の間に位置する「情報中継所」で、感覚信号を処理し、自律神経を介して体内の状態を調整する役割を持ちます。快・不快、緊張感といった感情にも深く関わっています。

​間脳を構成する2つの主要な部位

  • 視床: 嗅覚以外のすべての感覚情報を、大脳に送る前に整理・処理する「感覚情報の中継点」です。
  • 視床下部: 体温や食欲、睡眠などの自律神経をコントロールし、ホルモン分泌を介してストレス反応や体内時計などを管理する「コントロールセンター」の役割を担っています。

重複する部位

視床・視床下部
《辺縁系》と《間脳》で重複しているが、

「辺縁系」は感情や記憶の担当、
「間脳」は体を管理する司令塔。
その両方、相互に関わっている。

右脳と左脳は 俗称?

「右脳」「左脳」という言葉は通俗的な表現ですが、それぞれに特定の役割があることは科学的に認められています。一般的に、左脳は言語や論理、右脳は創造性や感情に関係すると言われますが、実際には両者が複雑に連携して機能しています。

大脳縦裂は左右を分ける役。
中央分離帯

脳梁は右脳左脳を繋ぐ役。
陸橋や横断歩道

脳と感情の不思議な関係

​私たちの感情は、脳内の特定の部位と、感情を伝える「神経伝達物質」によって生み出されます。ここでは、感情がどのように作られ、脳の各部位がどのように連携しているか、さらに五感がどのように脳とつながっているのかを解説します。

1. 感情を左右する神経伝達物質

​神経伝達物質は、感情の「化学的な表現」です。それぞれが特定の感情や反応を引き起こします。

  • ドーパミン: やる気や快感を生み出す物質です。ゲームのレベルアップや美味しいものを食べた時に分泌されます。
  • セロトニン: 安心感や落ち着きをもたらします。朝日を浴びたり、規則正しい生活を送ることで増やすことができます。
  • ノルアドレナリン: 集中力や緊張を高めます。試験前やスポーツの勝負前などに分泌されます。
  • エンドルフィン: 痛みを和らげ、幸福感をもたらします。ランニング中に気分が良くなる「ランナーズハイ」は、この物質によるものです。
  • オキシトシン: 愛情や信頼感を高める物質で、人との触れ合いや赤ちゃんを抱っこする際に分泌されます。

2. 感情が生まれる仕組み

​感情は、脳の各部位が連携して生まれます。

  1. 刺激の認識: 目や耳などの五感から情報が脳に入ります。
  2. 扁桃体での感情発生: 扁桃体が刺激を瞬時に「怖い!」「嬉しい!」と判断し、感情的な反応を生み出します。
  3. 前頭前野でのコントロール: 前頭前野が扁桃体の反応を理性的に調整し、過剰な感情を抑えます。
  4. 身体反応の伝達: 脳からの指令が体に伝わり、心拍が上がったり、汗をかいたりするなどの身体的な変化が起きます。

3. 五感と脳の関係

​五感から得た情報は、脳の異なる部位で処理されます。

  • 視覚: 主に後頭葉で処理され、形や色、動きを認識します。
  • 聴覚: 側頭葉が担当し、音や言葉を理解します。
  • 触覚: 頭頂葉が中心となり、温度や痛み、圧力などを処理します。
  • 嗅覚: 嗅球や大脳辺縁系で処理され、匂いと記憶・感情が結びつきます。
  • 味覚: 島皮質や視床が関わり、味を感じ取り、食欲や生存に必要な行動を司ります。

まとめ

​私たちの感情は、脳の各部位と神経伝達物質の連携によって生み出されています。これらの仕組みを理解することは、感情に振り回されず、より良い心の状態を保つ手助けになるでしょう。

以上参考になりましたら幸いです。

最後まで読んでいただき

ありがとうございます。

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